真生くん、大雪高原温泉の沼巡りをゆく

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北海道の山の紅葉も、いよいよ、クライマックスが訪れる。紅葉の名所、大雪山高原温泉の沼巡りは、マイカー規制が敷かれると、それは、最盛期が近付いたことを知らせる証なのだ。
真生くんは、「山に行きたい」と言うのだが、本当に山が好きなのかどうかは分からない。ただ、街の木の葉が赤くなったり黄色になったりする現象には、興味があったようだ。それなら、思いっきり、紅葉の中へ連れて行ってみようと、高原温泉の沼巡りを選んだ。しかし、沼巡り一周となると、後半は、登山道の整備もされておらず、沢の渡渉や、急斜面の登り返しなど、経験のないハードな体験をすることになる。人にも依るが、3〜4時間のロングコースだ。僕たちは、5時間の計画を立てた。真生くんは、山で、この時間を歩いたことはない。
 
マイカー規制のため、バスに揺られ、高原温泉登山口を目指す。ヒグマの生息地に立ち入るので、レクチャーを受け、入山する。おとなたちは、ちょっとした緊張感を味わうが、子供たちは、既に野生児だ。今日は、運良く、一周出来るという説明を受けた。ヒグマの動向次第では、高原沼辺りで閉鎖される場合がある。しかし、僕は密かに、真生くんが飽きたり疲れたら、いつでも引き返そうと思っていた。
 
さて、どうなるのか…。




前日に降った雨の所為なのか、道は泥んこで最悪のコンディションだった。しかし、天候は快晴、絶好の紅葉日和を約束してくれている。真生くんはデジカメをぶら下げ、上機嫌で森に入っていった。9月下旬にしては暖かな陽気で、少し汗ばむほどだ。その陽気の所為か、高所の紅葉は早く訪れたが、裾野に下りる速度は遅いような気がする。
 
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上機嫌の真生くん
 
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暫くは、樹林の中を、アップダウンを繰り返して歩く。見所まで約1時間かかるので、黙々と歩くしかない。でも、このちょっと退屈な1時間が、その後の感激に続くことを、多くの人は知らない。それは、初めて訪れる芽生ちゃんや真生くんにとっても同じだ。
そろそろ、飽き始めて、疲れた頃、その瞬間は訪れる。森は、空を拡げ、いきなり明るくなる。風景は、一変し、秋の色彩が押し寄せてくる。芽生ちゃんは感嘆の声を上げ、真生くんは眼をまん丸にする…。しかし、それは、まだ、序章に過ぎない…。
 
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冠雪を迎えた大雪山を望む
   
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土俵沼
 
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滝見沼
 
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お気に入りを見付けては、パシャリ
 
 
札幌っ子の真生くんは、野生児になりつつある。0歳の時の黒岳山頂で、何処にいるのか分からないのにニコニコしていたっけ。その時の空気感の名残を、脳の何処かに記憶しているのかな?
 
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何か、似合うねえ
 
 
次に現れるのは、緑沼だ。前半のハイライトと言ってもいい。遠く高根ヶ原や、真っ白になった白雲岳などを背景に、素晴らしい景観を展開してくれる。ここは、食事を許された場所なので、憩う人も多い。勿論、僕たちも沼の畔のベンチに腰を下ろし、この景観を楽しむのだった。
 
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緑沼
 
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立ち枯れゆくエゾリンドウ
 
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真生くん、駆ける
 
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見上げると
 
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鴨沼から見た高根ヶ原
 
 
緑沼の後、小さな沼を幾つか巡り、クライマックスへと近付く。まあ、何処がクライマックスかは、人それぞれだと思う。少しずつ標高を上げながら、多少、風も感じるようになり、雰囲気は高山の趣になってくる。
 
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沢沿いの道も泥んこ
  
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エゾ沼

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遠くに緑岳
 
 
徐々に、高根ヶ原の懐に近付く。エゾ沼を離れ、それを見下ろす高さまで来ると、先ず、左前方に、色付く高根ヶ原の斜面が現れる。尚も進むと、右側の視界も開け、その全貌が明らかになり、式部沼に着く。そのドラマチックな現れ方に、誰もが歓声を上げる。
 
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高根ヶ原の斜面
 
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遠くに大雪山の山並み
 
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式部沼
 
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式部沼を後にします
 
 
 
ちょっと勾配がきつくなり、登山の様相を示すと、大学沼に出る。ここも、食事を許された休憩ポイントだから、おおぜいの人がいる。沼巡りのコース上では、火を使えない。だから、真生くんの楽しみにしているカップ麺は、一周した後になる。おにぎりを食べて、それまでの我慢…。
 
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大学沼
 
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休憩を終え、更に登ると、コースの半分に位置する、高原沼に着く。登りが続いたので、真生くんも、少し疲れ気味だ。水分補給をして、腰を下ろす。ここで、丁度半分来たことを伝えて、戻るか行くかを訊ねた。真生くんの返事は、「一周する」だった。同じ距離を歩いても、戻るのと、一周するのでは、達成感が違うのだろう。やり遂げたい意志を感じた。しかし、この先、空沼までが見所で、後は、淡々と下ったり、登り返したり、渡渉したりと、ワイルドな道が連続する。真生くんには未知の世界と同時に、試練も必要かも知れない。僕たちも、ある種の覚悟を決めて、先に行くことにした。
 
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高原沼
 
 
少しだけ登り、下りに入ると、前方は開け、高根ヶ原の基部を歩くような道になる。当然、人の数も、ぐっと少なくなる。子供は、殆ど来ない。真生くんは回復したのか、スタスタと歩き、大自然に溶け込んでゆく…。何よりの光景は、そんな姿だった…。
 
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雄大な大自然の中、真生くんはゆく
 
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緑岳
 
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高根ヶ原を見上げる
 
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ホント、クマが出てきても不思議ないね
 
 
空沼は、その名の通り、水を湛えてはいない。秋には、雪解け水が干上がってしまうのだ。沼巡りの旅は、ここで終了する。そして、僕たちも、下山するという気持ちに切り替わる。
 
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空沼
 
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エゾリンドウ咲く道を下る
 
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果たして、道は、険しく、変化に富んでくる。あまり整備もされていないので、今までとは様相が違う。しかし、親たちの心配は、杞憂だった。真生くんは、この山行でも、成長しつつあることを証明してゆく。急な下りでも、三点支持をしながら下ってゆく。深い水たまりを回避するために、藪に突入し、ちょっとした高巻きなどする。ルートファインディングも自分でするのだった。跳べるか跳べないかを判断し、跳べないと分かると、自分の足場を見付け、見事に石を伝い、渉りきるのだった。余程、僕の方が危なっかしい…。もう、誰も、アドバイスをしなくなった。
 
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最後は、やっぱり、真生くんに負けた。すっかりと歩き慣れた真生くんに、追い付くことは不可能だった。この日、真生くんは、一度も転んでいない。一度も、ヒヤリとさせない。真生くんは、意外と、野生児だった…。そして、全然、山に懲りていない。
 
来年は、どんな冒険に付き合わされるのか…。逃げ出したい思いだ…。
 
 
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by meo_7 | 2014-09-23 03:31 | 登山(山岳徘徊倶楽部) | Comments(2)
Commented by at 2014-09-24 16:21 x
素晴らしい!
トップの画像が すべて。このカットだけで、その日、どんなふうに過ご
したのか伝わってくるし、想像できちゃう。
緑沼。紅葉と針葉樹のコントラストは、何となく奥日光とか北八ツあた
りのそれを彷彿とさせるけど、やっぱり色合いとスケール感だね。
「立ち枯れゆくエゾリンドウ」 画角の妙といい、バックの微妙なボケと
いい、Dfでしょ。
Commented by MIURA at 2014-09-24 17:46 x
翼さん、こんにちは。
More機能を利用すると、トップ画像の選別に気合いを入れますね。
だから、そう言われると、嬉しくなってしまいます。
 
本州の山の本格的な紅葉の記憶は、尾瀬しかないので、一度は訪ねてみたいところが一杯あります。
木の種類が違うので、趣も違うでしょうね。
 
Df すっかりと気に入っています。
予備にコンデジを持ってはいるのですが、一度も出しません。
段々とクセもわかり、馴染んできたので、もっと、フレーミングに集中したいです。
でも、山では、つい、お手軽な分かりやすい構図になってしまいます。
絵はがき的とでも言うんですか…。
 
ちょっと真面目に撮ってみた「立ち枯れゆくエゾリンドウ」を、眼に留めてくれて、ありがとう。
 
来季は、撮影に集中出来る山登りも計画してみようと思います。
つまり、ソロですね…。
 
Df …、なんか、写真が楽しくなりました。
 


時々、想うこと…


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