様似山道 2016/5/14
出発の準備をしていても、誰も来ない。土曜日で、晴天予報なのに…、と思いながら、その理由を探ったりする。まだ、花の時季ではないのかな? とか、時間が早すぎたのかな? とか…。
この橋を渡ります 入口は、トンネルの入り口の海側に階段がある。そこを下りると、様似山道の由来が記されている看板がある。橋の下を潜り抜け、幌満川の上流に向かい、川岸に下り立つ。一箇所だけ、非常に狭い箇所がある。ロープも設置されているので、いつもこんな状態なのか、それとも、増水時の為なのかは分からない。 先ずは、お勉強から… この箇所だけが狭い 振り返って、橋の方向を見ると… 登山口 入口には、立派なポストと案内板がある。地図では沢沿いに登ることになっているが、ここに立つ分には、沢への入口の雰囲気がしない。しかし、入口の階段を登ると、その雰囲気は一変する。幽玄の世界へ誘うような雰囲気に吞まれたのは、ひとり旅になりそうな予感と、初めての道のりに入る不安から来ていたのかも知れない。 こんな雰囲気で始まる… 先ず、直ぐに目に入るのは、エゾオオサクラソウの花だ。しかし、この辺の群落は、終盤を迎えているようで、花びらが傷んでいるものが多い。道は、沢に沿って続いているが、明瞭な道なわけではない。幾度も徒渉を繰り返すが、沢幅は狭く、水量も多くはないので問題はない。ただ、幅が狭い分、両岸の地形は傾斜がきつく、右へ左へと徒渉を余儀なくされる。深い谷底にいる感じだった。地形図通りといえば、その通りだった。 スミレの花は、本当に同定に苦労する。ま、不勉強というのが一番の理由なのだろうけど、図鑑の解説を読んでも、頭の中では整理出来ていない。これだ!と思っても、側弁に毛があったり無かったりで種類が違ったりする…。花弁の色など、全く当てにならない。花がそっくりだったら、茎を見たり、葉の形も見たりして判別する。僕には、気の遠くなる作業だ。ま、それは後にして、先ずは、写真に収めることだね。ここに掲載する写真は、雰囲気重視のものだったりするから、これだけで同定するのは難しい。でも、今はデジタル時代だから、横顔から後ろ姿、茎や葉もカメラに収める。 そんなわけで、今回の山歩きも、時間が掛かりそうだ。 オオバナノエンレイソウ 崩れそうな斜面に、一際目立つオオバナノエンレイソウ…。不思議なことに、もっと一般的なエンレイソウが、まったく見えない。とにかく、エゾオオサクラソウのオンパレードなのだ。今年は雪が少なかったから花期は早いのかと思っていたら、一概にそうとは言えず、低温続きだった所為もあるからか、例年の咲き方とは違うようだ。花それぞれの都合もあるのだろう。大型の花は咲き誇っているが、スミレ類などは、まだ花茎も伸ばしていないものが多い。今回は、あれもこれも、というわけにはいかないようだ…。 赤いテープが道しるべ こんな沢筋を一人っきり… グングンと高度を稼ぐ沢ではなく、狭いだけで、緩やかな登りだ。足下は、殆ど、深い落ち葉に覆われていて、それが却って歩きにくい。濡れた岩もよく滑る。雨の日なら大変かも知れない。 エゾオオサクラソウ ヒトリシズカ こんな光景があちらこちらで見られる 花をアップで… ちょっと下から… 沢沿いの道は、1時間弱で終わりを迎えた。閉塞感さえ感じていた僕は、やっと、本来のハイカー気分に浸れる。と、この時は思っていた。事実、道は尾根上の快適な道に変わる。しかし、植生は極端に少なくなり、落ち葉とアイヌネギばかりが目に入る。沢筋から離れ、尾根上へと続く山道 足下にはアイヌネギ… 落ち葉で埋まる登山靴 落ち葉の深さは場所により半端無く、登山靴がスッポリと隠れてしまう。まるで、雪山のラッセル状態だ。そんな中から、ヒトリシズカがポツンポツンと咲いている他は、アイヌネギが畑のように拡がっている。 ヒメイチゲ ホソバノアマナ 尾根の台地を過ぎると、下り斜面になる。すると、またしても、オオサクラソウの群落のお出迎えだ。そんな中に、たったひと株だけ、ちょっと雰囲気の違うスミレを見付ける。残念ながら、形はよくないので、横顔だけ撮影する。所謂、距の部分が特徴あるかなと思って…。 何というスミレでしょう? 道は次第に急斜面になり、ジグを切って下ってゆく。落ち葉混じりの斜面のトラバースは、結構シビアだった。再び、沢が現れ、そこを渡ることになっているが、ロープが張られている。きっと、増水時には、ロープ無しでは危険なのだろう…。その徒渉は問題なかったが、その後のトラバースが微妙だった。そこもお助けロープが張られているが、足下が悪かった。ハイカー気分は返上だった。 ロープが張られている ここが微妙だった… トラバースが終わると、直ぐにまた、沢を渡る。地形図を見ると、確かに、二股の直ぐ上流を横切っている。複雑な地形の箇所に道を作る理由は、何処も傾斜がきつく、渓谷の様相だから、次の尾根に取り付くには、ここしかなかったのだろう…。 二股の合流地点 渓谷の様相です 尾根に取り付いても、この微妙な斜面… 唯一、花を付けていたフイリミヤマスミレ(傷んでいます) これも分かりませんが、随分と反り返っています 尾根上の道 尾根の肩まで斜上し、幾分細い尾根を緩やかに登る。斜面を見下ろすと相変わらずエゾオオサクラソウが見えるが、尾根上には、僅かにヒトリシズカとスミレが散見されるに過ぎない。歩き始めてから2時間近くになるが、まだ中間点についていない。思えば、休憩もしていない。座る気もないので、歩きながらサンドイッチを食べる。 よい形のスミレに出会った… 原田宿跡 こんな山道に、宿があったらしい。跡地なので、曾ての建物は跡形もない。背後には、木々の間から、アポイ岳も見えている。案外、よい場所に思えてきた…。 案内板です 倒れていた標識 可憐な姿… 斜面は、ご覧のとおり… 反り返っていません… また、徒渉… ニシキゴロモ 見上げると、若葉… 中間点の標識 3時間弱で、中間点に着いた。ゆっくりペースだからこんなものだ。それに、最終地点の西口まで行かないで、途中のコトニ川の所から国道に出る予定だ。 アポイ岳 フデリンドウ その後は、呆気なかった。淡々と歩き続けていたら、舗装道路に出た。昆布を干す敷地の中に道は続き、そのまま、僕の終了地点のコトニ川の分岐に着き、そこを左折して下ると、国道に出た。おおよそ、3時間半の時間を要したことになる。 そこにバス停はあるが、時刻まで20分ほどある。そもそも、バスに乗る予定などたてていないから、そのまま、国道を歩いて戻ることにする。もうハイカーではなく、観光気分になっている。海辺では、昆布採りをしている姿が見える…。漁場が決まっているのか、ポツンポツンと、一人ずつがいる…。女性の仕事としては、とても、楽な仕事だと思えない。昆布が高い、などとは、決して言わないことにしよう。 昆布を採る女性
途中、トンネルを避けて、遠回りになるが、海岸沿いの旧道を歩いた。風光明媚な上に、名所などもあり、退屈しないで歩けた。しかし、それが終わると、道は、覆道に入り、最後は、幌満トンネルという、長い暗闇が待ち受けていた。通過する車の轟音を聞きながら、足早に歩く。この舗装道路の30分が、僕に、今日一番のダメージを与えてくれていた。やはり、大自然の大地が、如何に優しいのかを思い知ったのだった…。 Nikon Df AI AF Zoom-Nikkor 24-85mm f/2.8-4D IF
by meo_7
| 2016-05-16 02:18
| 登山(山岳徘徊倶楽部)
|
Comments(6)
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yah-_-yah at 2016-05-16 07:30
三浦さん、こんにちは。
名前だけはよく目にする様似山道。
歩く人は少ないのですね。熊も出そうだし、怖そうな道ですね。
結構距離もあるからアポイとセットでは辛いのでは?
今は手放してしまった24-85ですが、やはりハーフマクロはなかなかの描写ですね。
これ1本で風景も花も撮れて便利なレンズでした。
こういう便利レンズを現代の技術で作ってくれればいいのに、といつも思ってます。
名前だけはよく目にする様似山道。
歩く人は少ないのですね。熊も出そうだし、怖そうな道ですね。
結構距離もあるからアポイとセットでは辛いのでは?
今は手放してしまった24-85ですが、やはりハーフマクロはなかなかの描写ですね。
これ1本で風景も花も撮れて便利なレンズでした。
こういう便利レンズを現代の技術で作ってくれればいいのに、といつも思ってます。
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meo_7 at 2016-05-16 12:27
yahさん、こんにちは。
D500は、どうですか?
DXマウントのフラッグシップ機に相応しい評価のようですね。
FXのフラッグシップ機も所有しているyahさんとしては、どういう評価ですか?
様似山道は、なかなか歩き堪えがありましたが、花が少ないと、後半は退屈しそうです。
今回、24-85mm1本で撮影してみました。実際のフィールドでの実力を試してみました。
レンズ交換の手間がいらないということは、やはり、便利ですね。
しかし、ハーフマクロの限界を感じる被写体もあるので、マクロレンズは持つことになりそうです。
それと、今の時代、VRレンズに慣れてしまうと、その機能は欲しいですね。
D500は、どうですか?
DXマウントのフラッグシップ機に相応しい評価のようですね。
FXのフラッグシップ機も所有しているyahさんとしては、どういう評価ですか?
様似山道は、なかなか歩き堪えがありましたが、花が少ないと、後半は退屈しそうです。
今回、24-85mm1本で撮影してみました。実際のフィールドでの実力を試してみました。
レンズ交換の手間がいらないということは、やはり、便利ですね。
しかし、ハーフマクロの限界を感じる被写体もあるので、マクロレンズは持つことになりそうです。
それと、今の時代、VRレンズに慣れてしまうと、その機能は欲しいですね。
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yah-_-yah at 2016-05-16 12:55
D500、イイですよ!かなり気に入ってます。
D750がFX機のオールラウンダーならD500はDX機のオールラウンダーですね。
ただ(等倍鑑賞すると)ピントが微妙に甘い感じの時があって、
これが機材によるものなのか、撮影技術によるものなのか、現時点ではよくわかりません。
ピント微調整もちょっとだけやってみたのですけど、イマイチ「コレだ!」みたいになりません。
結局ピント微調整ナシでやってますが、機会があったらじっくり微調整もやってみようかと思ってます。
でもやっぱ一桁機の重厚感・信頼性・所有満足感ってのは違うものがありますね。
D500はかなり気楽な感じ、だけどちゃんと写るってカメラでしょうか。
確かにVRナシのレンズはもはや辛いですね。
特に手持ちでマクロ撮影するなら欲しいところです。
ニコンの60㎜マクロは描写はいいけどVRないのが辛い。
なんて言ったら贅沢ですか。
何枚か撮影して一番ブレてないのを選ぶしかないですね。
D750がFX機のオールラウンダーならD500はDX機のオールラウンダーですね。
ただ(等倍鑑賞すると)ピントが微妙に甘い感じの時があって、
これが機材によるものなのか、撮影技術によるものなのか、現時点ではよくわかりません。
ピント微調整もちょっとだけやってみたのですけど、イマイチ「コレだ!」みたいになりません。
結局ピント微調整ナシでやってますが、機会があったらじっくり微調整もやってみようかと思ってます。
でもやっぱ一桁機の重厚感・信頼性・所有満足感ってのは違うものがありますね。
D500はかなり気楽な感じ、だけどちゃんと写るってカメラでしょうか。
確かにVRナシのレンズはもはや辛いですね。
特に手持ちでマクロ撮影するなら欲しいところです。
ニコンの60㎜マクロは描写はいいけどVRないのが辛い。
なんて言ったら贅沢ですか。
何枚か撮影して一番ブレてないのを選ぶしかないですね。
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meo_7 at 2016-05-16 14:36
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windy1957 at 2016-05-16 14:48
こんにちは。
エゾオオサクラソウの佇まいが何とも素敵ですね。
こんな光景に出会ったら、一日中戯れてしまうかも知れま
せん。昨日はシナノコザクラに会いに南ア林道まで遠征し
てきましたが、5時間の林道歩きは少々辛かったです。
「何というスミレでしょう」最初のスミレは、葉っぱの裏
面から判断するとアイヌタチツボのような気もします。そ
れ以外は花柄が有毛ですが、タチツボなのかなぁ…。
沢筋をひとりっきり、ヒグマの恐怖はありませんか?
エゾオオサクラソウの佇まいが何とも素敵ですね。
こんな光景に出会ったら、一日中戯れてしまうかも知れま
せん。昨日はシナノコザクラに会いに南ア林道まで遠征し
てきましたが、5時間の林道歩きは少々辛かったです。
「何というスミレでしょう」最初のスミレは、葉っぱの裏
面から判断するとアイヌタチツボのような気もします。そ
れ以外は花柄が有毛ですが、タチツボなのかなぁ…。
沢筋をひとりっきり、ヒグマの恐怖はありませんか?
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meo_7 at 2016-05-16 15:25
翼さん、こんにちは。
マルバ(ケ)スミレを探しにいったのですが、残念ながら見付けられませんでした。
タチツボスミレは花茎は無毛と記されている記述が多いので、これは何だろう?というスミレばかりでした。
側弁は、総て、無毛でした。
とにかく、総てが一致する特徴が憶えられず、才能のなさにガッカリです。
鹿の痕跡は至る処で見えましたが、ヒグマの気配は感じなかったです。
僕は、ソロの時は、笛や大声は出さず、物音を立てたり、大きめな咳払いなどしながら歩きます。
相手にもビックリさせないようにしているつもりなんですが、効果はあるのか、一度も出会っていません。
ママと一緒だと、ママは笛を吹きます。気配を感じてからだそうで、ドキドキです。僕には、感じていないんですが、ね。
そろそろ、北海道も、本格的な花の季節です。
マルバ(ケ)スミレを探しにいったのですが、残念ながら見付けられませんでした。
タチツボスミレは花茎は無毛と記されている記述が多いので、これは何だろう?というスミレばかりでした。
側弁は、総て、無毛でした。
とにかく、総てが一致する特徴が憶えられず、才能のなさにガッカリです。
鹿の痕跡は至る処で見えましたが、ヒグマの気配は感じなかったです。
僕は、ソロの時は、笛や大声は出さず、物音を立てたり、大きめな咳払いなどしながら歩きます。
相手にもビックリさせないようにしているつもりなんですが、効果はあるのか、一度も出会っていません。
ママと一緒だと、ママは笛を吹きます。気配を感じてからだそうで、ドキドキです。僕には、感じていないんですが、ね。
そろそろ、北海道も、本格的な花の季節です。