目国内岳 お花見山行

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ニセコにある目国内岳をメクンナイダケと読める人は、ほぼ道産子しかいないだろうか…。道産子の僕だって、当初は読めなかった。僕たちは、この山に、山スキーで訪れたことがあるが、夏道で行ったことはない。それは、今年で閉館された新見温泉からのルートであり、夏の登山道は、パノラマラインが開いた時季の新見峠からになる。どうして、選んだかというと、早朝に家を出て、登山時間の短いものという条件を満たしたからなのだ。まだ、足慣らしの一環であって、多くの期待はしていない…。





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新見峠は車が溢れていた
 
 
共和町からパノラマラインに入り、山間の道は、舗装されてはいるが、狭い道になる。標高を上げてゆくと、路肩には、多くの車が駐車しているのだった。そんな光景を見て、僕は、何故に、この時季にニセコを訪れていなかったの理由を思い出すことになる。そうなのだ…、今、ニセコはタケノコ刈りの季節だったのだ。峠に近付くと、路駐の車は、可能な限り、所狭しと並んでいる。これは無理だな、と思い、ママには転進もあるねと伝えて、新見峠に、着く…。案の定、駐車場は満杯だし、路肩には、隙間無く駐められている。しかし、僕たちは、今日、余程の運を持ち合わせていたのか、何と、駐車場に一台のスペースが空いた。ママは、脱兎の如く駆け付け、自らのザックを置き、僕を呼ぶのだった。苦手なバックで数十メートルほど戻り、駐車場をゲット!
 
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さあ、出発…
 
 
登山届けを記入し、登山道に入るが、人の多さほどには登山者はいない。殆どが、タケノコ目当ての人たちで、直ぐに登山道から離れ、藪に入っていくのだった。時折、ガサゴソと音がして、笹藪が揺れ動いたりする。分かっちゃいるけど、その度に、ちょっとドキッとする…。いや、本物だったりするかも知れないしね…。そして、何やら、サイレンのような音が、ズーッと鳴っている。とても、物静かな大自然の中、なんて雰囲気ではない。でも、ちゃんと、花々は咲いている…。そんな喧噪など関係無しに…ね。
 
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ノウゴウイチゴ
 
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ミヤマスミレ
 
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フギレオオバキスミレ
 
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2合目を過ぎた辺り
 
 
この登山道にも、合目表示があり、目安になったり励みになったりで有り難い。2合目の表示を過ぎた頃、ズッと鳴っていたサイレンの音が徐々に大きくなってくる。すると、その正体は、立木の枝にぶら下げられていた。
 
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これが、サイレン音の正体
 
 
当初、熊除けのためと思っていたが、持って歩いていないで登山道にぶら下げているので、迷子防止なのだろうか。笹藪の方に向いている拡声器の方向からして、そうなのだろう。ニセコの、この時季ならではの風物詩なのかも知れない。
 
そして、僕たちは、そのサイレンの音から遠ざかる道を、ひたすら登ってゆく。道沿いには、シラネアオイも姿を現し、僕たちのテンションも上がってゆくのだった。
 
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シラネアオイ咲く登山道
 
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シラネアオイ
 
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ゴゼンタチバナ
 
 
3合目を過ぎ、斜度がきつくなってくると、前目国内岳の山頂が近付く。気温が高い所為か、調子はイマイチだ。でも、風は心地良く、ちょっと強めに吹いている。残念なのは、遠景が霞み、遠望が効かないことだ。まあ、贅沢は言いません…。前目国内岳は絶景をプレゼントしてくれる。あの喧噪は、何処にも無く、聞こえるものは、大自然の織りなす音だけだ。そして、眼前には、目指すべく目国内岳の全容が現れる。
 
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目国内岳を目指します
 
 
目国内岳へは、一旦、稜線上のコルまで下り、登り返す。当然だが、帰りも、そういうことになるから、喜んでばかりではいられない。下り始めると直ぐに、チシマフウロの群落に出会う。この花は、直ぐに傷むのだけど、丁度咲き始めの旬な姿だった。幸運は、続くのだった。
 
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チシマフウロ
 
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カラマツソウ
 
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どんどん下ります
 
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マイヅルソウ
 
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ハクサンボウフウの道
 
 
コルの付近は、背丈を超えるほどのネマガリタケとハクサンボウフウが咲き乱れる道になる。いずれも、ヒグマの大好物なのだから、僕たちの緊張もピークになる。次第に足早になり、意味もなく、咳払いしたり、大声でママを呼んだりする。
 
5合目はコル付近にあり、目国内岳に登り返すと、程なく、6合目に到達する。道は変化に富み、飽きることはない。山らしい山といえば、そうだと思う。「岩の門」と名付けられた場所があるが、門を通り抜けても、目新しいものはないから期待しないこと。要するに、目印だということだね。
 
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登り返します
 
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岩の門
 
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エゾイチゲ
 
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オクエゾサイシン
 
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あいにく、遠望は効きません。羊蹄山もうっすらと…
 
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シラネアオイ
 
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山頂の岩塊が見えてくる
 
 
目国内岳の登りは、日射しの強さもあって、なかなかハードだった。ママは、腰が痛いとか膝が痛いとか言いながらも、順調に歩を進めてゆく。僕は、何処も傷めていないのに、息も絶え絶えだ。なんか、悔しい…。7合目辺りから這松も混じりだし、登山路に岩場も出てくる。手足を駆使して登る登山は、やはり、山らしくていいね。
 
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ムラサキヤシオツツジ
 
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ミツバオウレン
 
 
8合目の灌木帯を過ぎると、森林限界を超え、笹藪の登山路に変わる。遠目には、一面の笹藪に見えても、道沿いには可憐な花々が咲いていて、心を癒される。
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コミヤマカタバミ
 
 
そんな折、何気なく振り返ると、見覚えのあるご夫婦に追い付かれる。通称、「コメットのおっさん」と奥様だった。僕は、勝手に、おっ様と呼んでいる。北海道どころか、全国に名を知られる、花の撮影の名人なのだ。この懐かしい再会が、今日の僕の幸運を決定的にすることになる…。それは、挨拶を終えた直後に訪れる。何気なく跨いだ一歩の足下に、小さく白い花が、僕の視線をサッと通り過ぎた。一瞬、スミレではないか?と、思い、踏み出した足を戻した…。
 
「スミレだ…」
 
と、声に出した。が、それに特別な意味はなく、ツボスミレかニョイスミレの類だと思ってのことだった。しかし、
 
「ウスバスミレね…」
 
と、奥様が言うではないか…。僕にも、その名前は知っていた。尾瀬の沼尻の湿原で見た、チシマウスバスミレという名のスミレだ。これは、スミレには疎い僕では、判別がつかなかっただろうし、写真さえ撮っていなかったかも知れない。僕は、久々に有頂天になって、シャッターを切り続けた。こんな場合、帰ってからガッカリするような写真ばかりになるという法則が、僕には有って、今回も、そうなった…。でも、いいのだ。もう、このスミレを見逃すことはないだろう。おっ様と奥様に大感謝だ!
 
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名人登場! 撮影用のパラソルがトレードマークです
   
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ウスバスミレ
  
 
一度、見慣れてしまうと、直ぐに見付けられるようになるのが、花探しの妙だ。この後も、数株見付けるのに、そんなに苦労することはなくなった。しかし、本当に小さく可憐なスミレだ。大ファンになったことは、言うまでもない…。
 
そこから、10分ほどで山頂に到達している。が、写真が無い。その理由は、目国内岳の山頂部分は、岩の塊で、カメラを取り出す余裕がなかったのだと思う。そして、山頂も、狭く、岩が積み重なっているだけなのだ。その代わりと言ってはなんですが、おっ様が、僕たちの姿を撮っていてくれました。
 
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白髪が僕です(おっ様撮影)
 
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霞んでいますが、雷電山方面
 
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右端に、微かに羊蹄山
 
 
落ち着いて寛げない山頂は、サッサとお暇をして、下ることにする。山頂直下でお昼休憩をして、そのついでに、レンズをマクロに交換する。下りながら、同じ被写体を撮影する事になるだけだけど、気分転換だ。そんなわけで、下山も、結構な時間を掛けてしまうことになる。
 
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コケモモ(蕾)
 
 
山頂部分の岩の間には、僅かだがイワウメの葉も拡がっている。花弁は一輪だけ開いていたが、その他は蕾さえもない。今年は不作なのかも知れない。コケモモは、これから咲き始めるようだ。90mmマクロは、疲れた身体では、手振れが止まらない。僕には、宝の持ち腐れと化している。かといって、三脚を持ってくる元気もない。
 
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コヨウラクツツジ
 
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ウスバスミレ
 
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ショウジョウバカマ
 
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コミヤマカタバミ
 
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オクエゾサイシン
 
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ベニバナイチゴ
 
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ツマトリソウ
 
 
戻る道も、おっ様には助けられた。先行するママが花を教えてもらっていたのだった。僕は、労せず、それらをゲットする。ツルシキミにレンズを向けるのは初めてだ。マクロ領域で見ると、可愛い花の集まりだった。新鮮な気持ちになった…。
 
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ツルシキミ
 
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サンカヨウの開花寸前
 
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エンレイソウ
 
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岩内町
 
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クロツリバナ
 
 
前目国内に登り返すと、おっ様たちがいた。追い付いたのではなく、待っていてくれたのだ。クロツリバナとベニバナイチゴの個体の良いものを教えてくれるためだった。わざわざ、戻ってくれた。クロツリバナも、レンズを向けるのは初めてだった。というより、意識して見たこともなかった。僕には、花の名人になるには、遠い道なのだと知った…。
 
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ベニバナイチゴ
 
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チシマフウロ
 
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フギレオオバキスミレ
 
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白樺山
 
 
今回は、思い掛けない再会で、大満足の、お花見山行だった。戻ってみると、あの喧噪は何処に行ったのやら…。山の静けさが、僕たちを包んでいた。これからは、ウスバスミレと出会う度に、コメットのおっさんご夫婦を思い出すだろう。思い出の積み重ねが、人生を豊かにするのだとしたら、僕は、やはり、歩き続けられる限り、山野を歩こう。小さな花との出会いに、喜びを感じることが出来る人でもありたいな、と思ったりする…。
 
 
Nikon Df
AI AF Zoom-Nikkor 24-85mm f/2.8-4D IF
TAMRON SP 90mm Di f/2.8


by meo_7 | 2016-06-21 02:12 | 登山(山岳徘徊倶楽部) | Comments(6)
Commented by てばまる at 2016-06-21 09:46 x
 小さいけど花が多いと道のりも楽しくなりますね。ゆえに花の無い富士山はいまいち登ろうという気がおきません(^^;)
 尾瀬の今年のチシマウスバスミレは花期がかなり早かったですっかり終わってました。花は無いけど大江湿原にもポイントがあることが判ってちょっとした収穫でした。あとは至仏山にもあって7月でも咲いてますが今年はたぶん終わってるんじゃないかと・・・
Commented by windy1957 at 2016-06-21 09:49
いいね。
Dfを構えるMIURAさんを想像しながら、素敵に切り取られた
花々を楽しませてもらいました。
コミヤマカタバミやシラネアオイが、とってもエレガント。
今シーズン、会えなかったスミレたちだけど、MIURAさんの
写真に慰められました。ウスバスミレ、もう忘れないね。
小さな花との出会いに… ほんと、そんなふうに思ったりす
る。
Commented by meo_7 at 2016-06-21 12:27
てばまるさん、こんにちは。
スミレに嵌る気持ちが分かりかけました。
葉の特徴も調べましたので、チシマウスバスミレも判別できそうですが、実物を見るのが一番ですね。
 
尾瀬の花期は、やはり早いようですね。
でも、秋が早く訪れるというわけでもないでしょうから、盛夏にはどうなっているんでしょう?
Commented by meo_7 at 2016-06-21 12:40
翼さん、こんにちは。
ウスバスミレを間近に見た時、嬉しかったです。
マクロ領域は不思議ですね。
スミレたちの表情が、それぞれ違うことも分かりました。
 
今回、葉の特徴も、ちゃんと見てきたので、次回からは分かりそうです。
ニセコの山は、笹藪に覆われていると、勝手に思っていたのですが、なかなか見応えがありました。
 
北海道も、そろそろ、高山にも花が咲き始めたようです。
僕の足慣らしは、終わっていませんが…。
 
Commented by yah-_-yah at 2016-06-21 12:41
おっ様夫妻との出会いもあり、いい山行になりましたね。
ウスバスミレは確かに知らないと「ツボスミレかな?」くらいでスルーしそうになるかもしれません。
でもツボスミレよりはやや花が大きそうに見えますが、どうでしょう?
ニセコ周辺の山はあまり興味がわかなくて登ったことがありません。
でも目国内岳は登ってみたくなりました。
しかし駐車が大変そうですね、、、(;^_^A
Commented by meo_7 at 2016-06-21 12:46
yahさん、そうなんです、駐車スペースの確保が、核心です。
ニセコの山を敬遠していたのは、それが理由でした。
 
車を駐められたら、反対側の、白樺山も訪れてみて下さい。
アズマギクの群生やら、ハクサンチドリなんかも咲いていると思います。
 
ニセコの山は、展望も素晴らしいのですが、今回は、春霞がひどかったです。


時々、想うこと…


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