大雪山 お花見山行 Day3 

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最終日も快晴の朝を迎えた。しかし、夜半、テントを揺らし続けた風は弱まっていなかった。これでは、稜線上で花の撮影は難しいだろう。僕にとっては運の良いことだったが、今日登ってくる人たちも多いから、手放しで喜ぶわけにはいかない。テントは、四隅のペグを外さずにポールを引き抜いた。こうすれば飛ばされないことも、失敗の経験から学んだ。山での失敗は、命取りになりかねないことも多くある。これまで、無事にやってこられたことに、素直に感謝したい。さて、後は、帰るだけだ。緩みがちな気を引き締めて…。
 




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さよならの風景
 
 
帰り道で、一番きついところは、テン場を後にした直後にやってくる。重たいザックを背負った朝一番に、短いけれど急登は堪える。振り返ると、いつの間にか、白雲の避難小屋が下になる。
 
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遠ざかる…
 
 
白雲の分岐まで来ると、トレイルランナーの青年がいた。6時に銀泉台を出発して、今、白雲岳から下りてきたと言うが、今、7時半過ぎだ。2時間掛かっていない。大雪山は初めてだと言い、「こんなに素晴らしいところなんですね」と、嬉しそうに話す青年の笑顔の方が、もっと素晴らしい…。昨日は、富良野岳から十勝岳、美瑛岳を走っていたというから、もう、僕にとっては驚き以外に何もない…。僕は30代の頃、層雲峡から黒岳、北海岳、白雲岳、緑岳、小泉岳、そして、黒岳に戻るという、所謂、3色登山をしたことがある。赤岳に行けなかったのは、最終ロープウエーの時間が気になったからだった。この青年の計画は、ここから黒岳をピストンして戻るということだった。なので、もし、ここに戻った時に時間があったなら、白雲の避難小屋経由で、緑岳、小泉岳と走り、銀泉台に戻ってみたらどうだと、提案してみた。それだと、4色登山の完成になるよ、と言い添えたら、俄然やる気になったようだ。4色登山とは、赤岳、白雲岳、黒岳、緑岳を踏破する登山をいう。話を終えて、北海岳に向かう青年の姿を、ずーっと眺めていた。巨大な雪渓も小走りで走り抜けていた。北海平の窪地に入る頃、青年の姿は見えなくなった。その後、彼はこの計画を成功させたのかどうかは、知る由もないが、何事もなければ、完結しただろう…。あの爽やかな笑顔だもの…。
 
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白雲岳分岐は出会いの分岐
  
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メアカンキンバイ
  
  
分岐から小泉岳への緩い登りは、山を3日も歩いている足には、もう辛いとも思わない。ただ、この一歩一歩が、日常への歩みだと思うと、後ろ髪を引かれる思いだ。山に登ると、「心洗われる思い」という表現をすることがあるが、では、日常で、「心が汚れる」のかというと、そんなわけはない。社会人としての日常とは、時間に支配されていることで成立し、非日常とは、その時間から解き放たれた状態で成立する。つまり、マンネリからの解放が、非日常ということだ。それからいうと、僕なんか、山にいようが、下界にいようが、非日常なのだ。だから正直に言うと、若い頃に比べて、後ろ髪は引かれていない…。あーあ、明日から仕事だ、と思う瞬間がなくなったのだ。これは、ちょっと寂しい。せっかく山に来た意味が、薄れてしまうからだ。とか何とか、思いながら歩くソロの山旅…。
 
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小泉岳の分岐
  
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まねき岩も見える黒岳
  
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第四雪渓
  
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第三雪渓
   
   
さすがに、下りは快調だ。僕の場合、脚力のうち、弱っているのは登る力であって、下ることに関しては人並みのスピードを維持できる。勿論、根性の方もなくなったんだけど…。
 
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ヒメイソツツジ
     
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コマクサ
     
 
これまで擦れ違う人が、そんなに多くなかったのは、この日の強風の所為かも知れないが、コマクサ平には、相変わらず、多くのカメラマンがいた。僕は、一旦、ここでザックを下ろし、休憩を摂る。歩くのが辛いのではなく、重荷から解放されたかったのだ。
 
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ジンヨウキスミレ
   
    
コマクサ平と奥ノ平の間は、ジンヨウキスミレの群生が見られる場所だけど、まだ、咲き始めたばかりのようだ。10株ほど咲いていたが、雪解けが進むと、数え切れないほどに群生する。北海道にしか咲いていないという。こんなに、普通に咲いているのにね…。
 
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ヒメタケシマラン
      
 
最後の休憩は、第一雪渓の手前のいつもの場所。今年初めて、宿泊装備を背負って歩いてみた。こうして、3日目を迎えて感じることは、まだ、少しだけ頑張れるのかも、と思ったことだ。勿論、もう人並みのスピードで歩けるわけではない。それを考えると、登山口から宿泊場所までの距離、時間は、重要な問題になる。例えば、トムラウシの登山口から南沼のテン場まで辿り着けるかというと、今では、自信が無い。クチャンベツの登山口から、一気にヒサゴ沼までというのも、最早、無理だと思う。北海道の山は、宿泊地から次の宿泊地までの距離が比較的遠いので、勢い選択肢は限られてくる。その残った選択肢の中で楽しむしかない。やっぱり、山の中は、いいからね…。
 
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ツマトリソウ
      
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最後の風景
         
 
Nikon Df
AI AF Zoom-Nikkor 24-85mm f/2.8-4D IF

by meo_7 | 2016-07-13 15:25 | 登山(山岳徘徊倶楽部) | Comments(0)


時々、想うこと…


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