花の山旅 ニセイカウシュッペ山(前編)

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花咲く道を…
 
 
 この物語は、写真も多く、文章も長くなる予定です。つまり、いつも、気の向くままに書いているという告白ですね。依って、前編、後編に分ける予定です。そんなこと、書く前に構成しろ!というお叱りは、無視します。
  
 さて、北大雪のニセイカウシュッペ山に訪れたのは、この物語の主人公と、僕の古くからの友人と、僕との三人です。ママは、腰痛が思わしくなく、ザックを背負わないクライミング三昧を楽しんでいる。
 
 さて、花の山旅…、どんな旅になるのでしょう…。





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爽やかさっちゃんと…
 
 
 主人公の彼女は、運を持ってると思われていた。たまたま訪れた山で、なんと、キンセイランと、いとも簡単に出逢ってしまうほどだ…。でも、その運も尽きたのか…。実は、この日、3日間を要して、大雪山に入り、テント泊の予定を組んでいた。しかし、天気予報は、3日とも雨マークが並んだ。彼女の意気消沈振りは、目を覆いたくなるほどだった…。中止を決定し、それぞれは、それぞれの時間に戻ったかに、思われた…。しかし、彼女の運は、尽きてはいなかった。直前になって、2日間だけは、晴れマークに変わったのだった。急遽、3人は、再び集結し、とんでもない計画が遂行されようとしていた。それは、1日目、北大雪ニセイカウシュッペの日帰り、2日目、ニセコの白樺山、シャクナゲ岳の日帰り…。移動距離は、考えないことにした…。日帰り山行だから、当然、一旦、自宅に戻るわけだ。一番年寄りの僕が、お抱え運転手というのも、自然に決まり、各々を、早朝、まだ薄暗い時間に迎えに行くというのも、自然な役割だ。何たって、世間一般の年寄りは、早起きらしい…。そういう点では、世間一般ではない僕は、2日間、緊張の朝を迎えていることなど、彼女たちは知らない…。
 
 1日目、先ず、午前3時15分、さっちゃんを迎えに行く。さっちゃんの事を、僕は、「爽やかさっちゃん」と呼んだりする。大らかで快活で、朗らかで気は優しく、そして、気遣いの女性だ。いつも笑顔のさっちゃんの、最大の武器は、何といっても、その「超天然」ぶりだ。筆舌に尽くしがたいほどの天然さは、天真爛漫な性格だと、都合が良く解釈される場合が多いのも、人徳のお陰か…。僕は、そんな風には、絶対、思わないけどね。次に迎えに行くのは、タイプは違えども、天然さには磨きが掛かっている彼女の家だ。午前4時、彼女に忘れ物などないかを確認する僕たちも、滑稽だ…。何せ、常習犯だから仕方がない…。当の本人も、そのことをよく弁えていて、それならば、段々と、そのクセは直りそうなものだが、そうではないことが、天然たる所以なのだから、始末が悪い…。と、まあ、考えようによっては、とーっても魅力的なふたりと、唯一、まともな僕との3人旅は、始まる…。

 車は高速をひた走り、一般国道から長い林道に入り、登山口に着く。午前7時を回っていた。登山口を、午前7時27分に出発する。天候は回復気味だが、まだ、不安定な大気の流れだ。雨さえ降らなければ万々歳と思っている僕たちは、緑深い森の中へと入ってゆく。いいねえ、やっぱり、山の中…。
 

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オオバミゾホウズキ
 
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 ニセイカウシュッペは、意外に花の山だと、僕は思っている。しかし、隣の平山の方が有名なのは、コマクサが咲いているからだろう。しかし、この山には、瑠璃色の花がある…。その出逢いを、密かに期待しての山選びだった…。果たして、咲いているのか…。
 
 
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オオレイジンソウ
 
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オトギリソウ
 
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さっちゃんと歩く…
 
 
 彼女は、さっちゃんに憧れている。山のキャリアは勿論のことだが、その性格にも…。筋金入りの遊び人に憧れるというのも、僕はどうかと思うのだけど、縁というものは、不思議なものだ。いつもは早足のさっちゃんは、ゆっくりと歩いてくれている。振り返ると、いつも笑顔…。彼女は、それを見て、魔法のように惹かれてゆく…。
 
 山のパートナーとして、僕は、ふたりを引き合わせてみた。今日、初めて、共に山を歩く。何か、お互いの呼吸というか、相性などを探ってくれたらいいかな、と思っていた。人は、誰かに育てられ、いつしか、誰かを育てる側になる。その繰り返しなのだ。今日、僕は、その最初の一歩を目撃するわけだ。
 
 ニセイカウシュッペの登山道は、その全行程に、急斜面は、殆どない。ゆっくりと標高を上げ、雄大な風景と、足下に咲く花々を楽しみながら歩くことが出来る。今日、その雄大な風景の一部である、表大雪山の姿は、濃い雲に覆われ、見ることは叶わなかった。しかし、花の季節は、今、最高潮を迎えているようだ。素晴らしい散歩道…。
 
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アオチドリ
 
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花咲く散歩道
 
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マイヅルソウ
 
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新たなコンビ
 
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エゾウサギギク
 
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 さっちゃんの後を歩く彼女の足取りは、確かなものだった。多少引き離されても、無理に追い掛けない。これは大切なことだ。自分のペースを守ることが大切だ。さっちゃんも心得たもので、適度に振り返り、一定の距離は保っている。さっちゃんの眼中には、僕のことなど、ない…。パートナーの足取りだけを見ているのだ。
 
 ママと一緒なら、とっくに何度も休憩しているのだけど、今日は、僕も、少しは頑張る。永年、山登りを続けているが、他の人と山を一緒に歩くことは、数えるほどしかない。でも、こうして、歩いていると、と言うより、眺めていると、微笑ましいシーンなどを目撃して、結構、楽しいものだ。1,533標高の岩場で、ちょっとだけ休憩を摂ってもらう。あいにく、表大雪の展望はない。彼女にしたって、いつでも来られる山だから、楽しみは、取っておきなさい、ということか…。まあ、僕の本音は、見せてあげたかったけど…ね。
 
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ヤマハハコ
 
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トリアシショウマ
 
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イワハゼ
 
 
 尾根が細くなると、いよいよ、1,742標高のポコが近付いてくる。まだ、灌木帯を抜けきってはいないが、高山の雰囲気は、肌で感じる。ポコを登るわけではなく、北側の斜面をトラバースしてゆく。ここは、残雪期であれば、結構、痺れる場所もあるが、今は、そんな緊張感は、ない。
 
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見晴台にて…
 
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ガスに煙る1,742標高のポコ
 
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マルバシモツケ
 
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迫力満点
 
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ハナニガナ
チシマキンバイソウ
 
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チシマアザミ
 
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チシマキンバイソウと旅人…
 
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花と語る…
 
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 トラバースの道は、圧巻のお花畑だった。彼女も呆然とし、さっちゃんも、花の撮影に忙しい。北国の盛夏は、花の季節を、一挙に公開したように、斜面を彩っていた。素晴らしすぎる…。彼女は、やっぱり、運を使い果たしてはいなかった。雲は躍動し、風はそよぐ。花も、虫たちも、小鳥たちも、僕たちさえも、大自然の一員に迎えられている。こんなに苦しいことをしているのに、どうして、心が安らぐのだろう? 見上げると、まだまだ、辛い道のりが続くというのに、どうして、足を運ぶのだろう? きっと、人は、自分の弱さを、どこか心の中で、克服したいと思っているのかも知れない。繰り返し、繰り返し、僕は、40年近くも、山を登り続けている…。同じ疑問は、未だに、続いている…。それは、答えを求めていないからだと、ずーっと前に、気付いていた。ありのまま…でいることだけで、満足だった…。
 
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ミヤマリンドウ
 
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お花畑の道…
 
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ニセイカウシュッペ山
 
 
 芽刈別第三支流という沢を挟んで、ニセイカウシュッペの頂きが迫ってくる。しかし、登山路は、大きく迂回し、そう簡単には届かない。大槍と呼ばれる屹立した峰のトラバースが終わると、いよいよ、アンギラスが待ち構え、ニセイカウシュッペ山の頂きへの道は、その姿を、正面に捉えられるように迂回を始める。相変わらず、花の姿は、途切れることはない。その所為か、時間は、予定よりも遅れている。当初の計画では、アンギラスへのピストンも考えていたが、その選択は、ギリギリになった。
 
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ヨツバシオガマ
 
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チシマフウロ
 
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トウゲブキ
 
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右手にアンギラス
 
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山頂への道
 
 
 振り返ると、大槍が、その印象的な姿の全容を見渡すことが出来る。なんと、その頂きに、人が立っているではないか…。孤高の頂きに…。それは、とても、美しく見えた。さっっちゃんと彼女は、それを目撃し、暫く、見上げていた…。その眼の輝きを見て、僕は、いやーな予感がした。
 
「あんな風に、わたしたち、写真を撮ってもらいたいね…」
 
そんな声が、聞こえたが、僕は、聞こえないふり…。果たして、どうなるのか? 後編に続きます…。
 
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孤高の頂き、大槍…

 
Nikon Df
AI AF Zoom-Nikkor 24-85mm f/2.8-4D IF


by meo_7 | 2017-07-27 05:12 | 登山(山岳徘徊倶楽部) | Comments(0)


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