白樺山〜シャクナゲ岳 プチ縦走

f0109977_21530639.jpg
 
 
 彼女の旅は、まだ続く…。昨日は北大雪から札幌へ。そして今日は札幌からニセコへと…。連続日帰り山行2日目は、天候もよく、展望の山を選んで正解だった。白樺山は、お手軽に登れて、稜線歩きも楽しめる。しかし、彼女とさっちゃんには物足りないに決まっている。企画立案の僕に、絶対に文句を言うに決まっているから、シャクナゲ岳へのプチ縦走と相成った。専属お抱え運転手となった僕は、どうなることやら…。
(ここに掲載される写真は、3人の撮影に依るものです。つまり、僕も、いっぱい写っちゃっています。悪しからず…)





f0109977_22033681.jpg
 
 登山口は、新見峠の駐車場の、直ぐ近くにある。ウイークディとあって、駐車場には、車は少ない。静かな山旅が楽しめそうだが、彼女とさっちゃんが大人しくしているかどうかは、分からない…。昨日から、薄々感じているのだが、どうやら、僕の立ち位置というか、立場というか、扱いというか、そんなものが、どうやら、低下しているような気がしないでもない。ここは、何とか挽回したいところだが、天然のふたりには、どんな手を使っても、通用するはずもない。
 
 そんな僕の思惑とは関係なく、大自然は、悠然としている。僕も、それを見習いたくて、山を訪れるのだが、まだまだちっぽけだなと、思い知らされることの繰り返し。いつになったら、僕は、そよ吹く風になれるのだろう…。
 
f0109977_23301507.jpg
 
f0109977_23342568.jpg
 
f0109977_23554488.jpg
くぐる…

 
f0109977_23354558.jpg
ハイオトギリ
 
 
 白樺山は、登山口から山頂まで、普通に歩けば、1時間ほどで到達してしまう。しかし、展望が良く、稜線を辿り、山頂に向かう道は、趣が満点だ。ニセイカウシュッペ程ではないが、花も多い。カメラを抱えた彼女は、もう、自分で花を探し、レンズを向けている。彼女の写真の特徴は、優しさ、だと思う。同じ被写体を撮影しても、その表現方法が異なる。敢えて、ソフトフォーカスを試みたり、露出オーバー気味に光を取り入れる。眩しささえ、写真で表現しようとしているのだ。所謂、写真として、どう残すのかを、頭に描いているのだ。構図も個性的で、特に、縦アングルの使い方が秀逸だと思う…。僕のことを師匠と呼ぶが、その師匠が、影響を受けそうだったりする…。
 
 樹林帯を通り、灌木帯を過ぎると、少し急登になり、森林限界を超える。展望は一気に拡がり、僕たちは、山の人に、なる…。道端には、ハイオトギリが満開だ。大気は澄んでいて、遠望も効く。遠く、駒ヶ岳も望める…。彼女の思い出の山、遊楽部岳も、遠い山並みの何処かにあるはずだ…。同じ場所を訪れて、見渡す景色は同じでも、登った山の数だけ、思い出も浮かんでいる…。来年は、再来年は、どれだけ、彼女の思い出は増えているのだろう…。
 
f0109977_07134998.jpg
 
f0109977_07141019.jpg
マイヅルソウの実
 
f0109977_07144094.jpg
ノリウツギ
 
f0109977_07153505.jpg
爽やかさっちゃん
 
f0109977_07160428.jpg
一応、ポーズ、らしい…
 
 
 登山路は、顕著な稜線に出る。シャクナゲ岳も、その特徴的な姿を見せ、積丹の山並み、岩内岳、目国内岳などが、目の前に展開する。空には、薄い雲も拡がるが、雲間から洩れる日射しは強い…。彼女の、貴重な休みは、雨マークから晴れマークに転じた。よかったね…。
 
f0109977_07311917.jpg
さっちゃん、シャクナゲ岳を射程に…
  
f0109977_16024524.jpg
f0109977_16260795.jpg
f0109977_07535629.jpg
 
f0109977_07321465.jpg
シャクナゲ岳
 
f0109977_07324587.jpg
彼女も、孤高の旅人…
 
f0109977_07335945.jpg
ヤマサギソウ
 
 
 約1時間の道のりなのに、ゆっくりと、ゆっくりと、僕たちは歩いていた。僕は、時計すら見なくなっていた。時間は、正確に刻まれている筈だ。でも、都会で流れる時間と、山の中で流れる時間は、本当に同じなのか?と、思うことがある…。心地良い風が、吹き出す汗を冷やしてくれる。ふと、見上げると…、登山路からはみ出したような岩峰の上に、さっちゃんが立っていた…。爽やかさっちゃんが、もっと爽やかになっている…。それは、美しい姿だった…。彼女も、それを目撃したのか…、この一瞬から、僕の存在は、彼女の中から…消えた…。
 
f0109977_07425524.jpg
さっちゃん、かっこいい…
 
 
f0109977_10024094.jpg
タカネナデシコ
    
f0109977_16493992.jpg
ミヤマアズマギク
f0109977_17392279.jpg


 
 この岩峰の辺りには、タカネナデシコ、ミヤマアズマギクなどが咲き、僕たちは、随分と長い時間を過ごした。展望が素晴らしく、道南の山の連なりも見える。彼女は、さっちゃんと並んで、風景の一部になる。どうやら、思い出の遊楽部岳を探しているようだ。見つかるといいね…。
 
f0109977_16592905.jpg
思い出の山を探す…
  
 
 ひとときが過ぎた頃、さっちゃんが、再び、岩峰の上にゆく…。背景には、遠くの山々…。彼女は、思わず、
 
「さちえさん、かっこいい…、素敵…」
 
と、眼をハートにする…。自分の、未来の姿を、想像したのだろうか…。憧れは、追い続けることだ。そうすれば、きっと彼女も、今、頭に描いた未来の姿に追いつける…。
 
f0109977_10103680.jpg
ヨガのポーズらしい…
 
 
 その、さっちゃんの姿を見て、彼女も勇気を出した。憧れに近付きたいのだ。苦手な岩場、しかも、狭く、片側はガケ斜面に切れ墜ちている。彼女は、憧れの力で、一歩を踏み出した。恐る恐る、岩に取り付く。本人は怖いのだろうが、見ていても安心な動きだった。彼女は、決して無謀ではない。冒険の領域に入るときの、一種の憶病さが、事故を防ぐ最大の要因なのだ。岩峰の上に、腰掛ける。そして、彼女は、弾けた。この日一番に弾んでいた…。
f0109977_15482278.jpg
絶景かな…
 
f0109977_15503938.jpg
更に、調子に乗る…
 
f0109977_17094844.jpg
ミヤマアキノキリンソウ
 
    
  
 楽しいひとときを終え、3人は我に返り、また旅を続ける…。白樺山山頂を正面に捉え、登山道の斜度は上がり、次第に、岩だらけの道になる。すると、山頂は、もう直ぐだ…。午前9時半、1時間半を要して山頂に立った。ま、のんびり登山の真骨頂というべきか…。
 
 
f0109977_18593332.jpg
     
f0109977_17531577.jpg
 
f0109977_19033373.jpg
白樺山山頂にて…
 
f0109977_19060735.jpg
 ひととき…
 
 
 ここで、僕は、ふたりとは別行動をとることにする。その訳は、帰りのドライブに備えて、あまり疲労を溜めないことと、彼女とさっちゃんの、ふたりだけの山行を体験させることが、これからのふたりにとって必要だからと思ったからだ。山頂でのひとときを終え、ふたりは、初めて、ふたりっきりの山歩きをする。僕は、もう少し休憩を楽しみ、散歩がてら、花を探し、シャクナゲ方面に向かい、何処かで擦れ違うのを待つことにする、と伝えた。
 
f0109977_21530639.jpg
    
f0109977_20514934.jpg
シャクナゲ岳への縦走路をゆくふたり…
 
 
 山頂で、縦走路を歩くふたりを見送りながら、遠い風景を眺める…。若い頃は、ソロだった。失敗も多く経験したが、今も、こうして元気だ。失敗から学ぶものは、教わることよりも有効だった。僕が思うに、彼女は、本来、ソロ志向ではないかと思う…。彼女のことは、分かっていることは多くは無いけど、人見知りが原因の、馴染むまで時間が掛かったり、控え目だったり、気を遣いすぎたりと、そんなところから、人間関係をスタートさせる。勿論、馴染んできて、心を開き始めると、その反動かどうか、生来のお転婆ぶりだとか、忍耐強さだとか、性格の片鱗を見せてくる。何故山に向かうのか…その疑問の答えのひとつに、山では、ありのままでいられる…、というのが、あるのかも知れない。確かに、彼女は、山では、普段は見せない、屈託のない笑顔や、弾んでいる心を見せてくれる。ありのままを求めて山に入るのなら、それは、ソロが一番だろう。ソロには危険が伴うと、よく言われるが、憶病な彼女には、それは当て嵌まらない。憶病さは、慎重さを産む。自ら、無意識に、安全の範囲を狭くしているから、危険からは遠いところにいる。勿論、リスクが何もないとは言えない。そんなことは、ソロであろうが、単独であろうが、リスクの種類が違うだけで、安全を保証するものなどないのが、山登りだ。それは、みんな等しく、非日常といえる冒険の領域に、踏み出すことになる。おそらく、「生きている」実感を、感じたいが為かも知れない。山で死んでしまう人も、少なくない。死者に鞭打つつもりは毛頭ないが、彼らは、彼女らは、「憶病」では無くなってしまっていたのではないか…。
 
 彼女は、きっと、大自然に挑む、なんて気持ちにはならないだろう。澄み渡る青空だけが大自然ではない。吹き荒ぶ風も、横殴りの雨も、総てが大自然だ。謙虚さを学び、感謝の気持ちを育むだろう…。ひとつひとつの頂きを越え、大自然に溶け込み、次の遙かなる山を想い、憧憬を深めてゆくだろう。そして、自分の成長を知り、育ててくれた大自然に、感謝の気持ちを積み重ねるだろう…。
 
 そんなことを思い、ふたりの姿は、遠い景色に同化していった。僕も立ち上がり、ゆっくりと、歩き始めた。陽が高くなり、気温も上昇した。シャクナゲへの縦走路は、次第に高度を下げ、蒸し暑さも倍増した。ふたりと一緒じゃなくてよかった。結局、僕は、ふたりの足を引っ張ることになったかも知れない。木陰で腰掛け、過ぎるそよ風が心地良い。地図を拡げ、今頃、ふたりはどの辺りだろうかと、思いを巡らす。ひとりは、もうひとりを慕い、憧れている。もうひとりは、ひとりを可愛がり、育ってくれたらと願っている…。なんか、いいね…。
 
f0109977_22123661.jpg
コバギボウシ
 
f0109977_22131284.jpg
ヤマサギソウ
 
f0109977_22133653.jpg
アリドウシラン
 
 
 ここからは、僕は同行していないので、ふたりの撮影した写真を掲載します。
 
f0109977_22241564.jpg
 
f0109977_22325966.jpg
f0109977_22370962.jpg
f0109977_22383630.jpg

 
f0109977_22333313.jpg
f0109977_22354056.jpg
f0109977_22411704.jpg

 ふたりは、僕の計算よりも遅くなっている。どうしたものかと、さっちゃんに電話を入れる。すると、
 
「楽しすぎて長居しちゃった。今から下りまーす」
 
だとさ…。すっかり、僕のことなど忘れている。それはそれでいいんだ、と思う僕がいる…。この日は、初めから、ふたりの旅だと思っていた。ふたりが、山のパートナーとして、信頼を築いてくれたらいい。
 
 満喫したお陰で、新見温泉の入浴の時間はなくなった。まあ、その分だけ、ゆっくりと歩く事が出来る。大雪山縦走という計画は流れたけれど、この2日間は、充実した山旅になった、僕にとっても、新鮮な経験だった。僕の役割は、サポートに過ぎないが、それも、山への恩返しに繋がるのかも知れない。ふたりは、とても、とても、楽しそうだった。この青空の下、幸せの風がそよいでいた…。
 
f0109977_22574046.jpg
 
f0109977_23001590.jpg

Nikon Df
AI AF Zoom-Nikkor 24-85mm f/2.8-4D IF



by meo_7 | 2017-07-28 23:02 | 登山(山岳徘徊倶楽部) | Comments(0)


時々、想うこと…


by MIURA@オイちゃん

プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ

全体
登山(山岳徘徊倶楽部)
僕と音楽
徒然に…
ちょっとした旅
カメラ
山の道具あれこれ

最新の記事

昆布岳 落ち葉の登山路 20..
at 2017-10-21 17:47
白雲山・天望山(後編)アルペ..
at 2017-10-02 01:59
白雲山・天望山(前編)アルペ..
at 2017-10-01 00:32
大雪山紅葉の旅 プチ縦走(後..
at 2017-09-20 13:46
大雪山紅葉の旅 プチ縦走(前..
at 2017-09-19 05:24
道東弾丸ツアー 斜里岳(後編..
at 2017-09-13 20:47
道東弾丸ツアー 斜里岳(前編..
at 2017-09-13 11:23
道東弾丸ツアー 西別岳・リス..
at 2017-09-12 21:29
白樺山〜シャクナゲ岳 プチ縦走
at 2017-07-28 23:02
花の山旅 ニセイカウシュッペ..
at 2017-07-27 14:01

以前の記事

2017年 10月
2017年 09月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 02月
2016年 12月
2016年 10月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 01月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 01月
2013年 11月
2012年 07月
2010年 01月
2006年 12月
2006年 11月

お気に入りブログ

やぁやぁ。
風街角
pode ser um ...

外部リンク

お薦めのホームページ

最新のコメント

翼さん、こんにちは。 ..
by meo_7 at 16:33
トップの写真、演出かもし..
by windy1957 at 10:33
てばまるさん、こんにちは..
by meo_7 at 22:16
いや~~~~~素晴らしい..
by てばまる at 15:15
yahさん、こんにちは。..
by meo_7 at 19:28
三浦さん、こんにちは! ..
by yah-_-yah at 14:50
翼さん、ありがとうござい..
by meo_7 at 11:39
いいね、やっぱり。 不..
by windy1957 at 10:23
てばまるさん、こんばんは..
by meo_7 at 23:14
クマガイソウというとなん..
by てばまる at 22:04
翼さん、まったくその通り..
by meo_7 at 20:30
辛い思いをしても逢えず仕..
by windy1957 at 17:33
てばまるさん、こんにちは..
by meo_7 at 16:13
このローアングルからする..
by てばまる at 09:29
翼さん、ホント、野に咲く..
by meo_7 at 14:49

検索

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

登山
カメラ

タグ

画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31