白樺山〜シャクナゲ岳 プチ縦走

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 彼女の旅は、まだ続く…。昨日は北大雪から札幌へ。そして今日は札幌からニセコへと…。連続日帰り山行2日目は、天候もよく、展望の山を選んで正解だった。白樺山は、お手軽に登れて、稜線歩きも楽しめる。しかし、彼女とさっちゃんには物足りないに決まっている。企画立案の僕に、絶対に文句を言うに決まっているから、シャクナゲ岳へのプチ縦走と相成った。専属お抱え運転手となった僕は、どうなることやら…。
(ここに掲載される写真は、3人の撮影に依るものです。つまり、僕も、いっぱい写っちゃっています。悪しからず…)





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 登山口は、新見峠の駐車場の、直ぐ近くにある。ウイークディとあって、駐車場には、車は少ない。静かな山旅が楽しめそうだが、彼女とさっちゃんが大人しくしているかどうかは、分からない…。昨日から、薄々感じているのだが、どうやら、僕の立ち位置というか、立場というか、扱いというか、そんなものが、どうやら、低下しているような気がしないでもない。ここは、何とか挽回したいところだが、天然のふたりには、どんな手を使っても、通用するはずもない。
 
 そんな僕の思惑とは関係なく、大自然は、悠然としている。僕も、それを見習いたくて、山を訪れるのだが、まだまだちっぽけだなと、思い知らされることの繰り返し。いつになったら、僕は、そよ吹く風になれるのだろう…。
 
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くぐる…

 
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ハイオトギリ
 
 
 白樺山は、登山口から山頂まで、普通に歩けば、1時間ほどで到達してしまう。しかし、展望が良く、稜線を辿り、山頂に向かう道は、趣が満点だ。ニセイカウシュッペ程ではないが、花も多い。カメラを抱えた彼女は、もう、自分で花を探し、レンズを向けている。彼女の写真の特徴は、優しさ、だと思う。同じ被写体を撮影しても、その表現方法が異なる。敢えて、ソフトフォーカスを試みたり、露出オーバー気味に光を取り入れる。眩しささえ、写真で表現しようとしているのだ。所謂、写真として、どう残すのかを、頭に描いているのだ。構図も個性的で、特に、縦アングルの使い方が秀逸だと思う…。僕のことを師匠と呼ぶが、その師匠が、影響を受けそうだったりする…。
 
 樹林帯を通り、灌木帯を過ぎると、少し急登になり、森林限界を超える。展望は一気に拡がり、僕たちは、山の人に、なる…。道端には、ハイオトギリが満開だ。大気は澄んでいて、遠望も効く。遠く、駒ヶ岳も望める…。彼女の思い出の山、遊楽部岳も、遠い山並みの何処かにあるはずだ…。同じ場所を訪れて、見渡す景色は同じでも、登った山の数だけ、思い出も浮かんでいる…。来年は、再来年は、どれだけ、彼女の思い出は増えているのだろう…。
 
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マイヅルソウの実
 
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ノリウツギ
 
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爽やかさっちゃん
 
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一応、ポーズ、らしい…
 
 
 登山路は、顕著な稜線に出る。シャクナゲ岳も、その特徴的な姿を見せ、積丹の山並み、岩内岳、目国内岳などが、目の前に展開する。空には、薄い雲も拡がるが、雲間から洩れる日射しは強い…。彼女の、貴重な休みは、雨マークから晴れマークに転じた。よかったね…。
 
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さっちゃん、シャクナゲ岳を射程に…
  
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シャクナゲ岳
 
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彼女も、孤高の旅人…
 
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ヤマサギソウ
 
 
 約1時間の道のりなのに、ゆっくりと、ゆっくりと、僕たちは歩いていた。僕は、時計すら見なくなっていた。時間は、正確に刻まれている筈だ。でも、都会で流れる時間と、山の中で流れる時間は、本当に同じなのか?と、思うことがある…。心地良い風が、吹き出す汗を冷やしてくれる。ふと、見上げると…、登山路からはみ出したような岩峰の上に、さっちゃんが立っていた…。爽やかさっちゃんが、もっと爽やかになっている…。それは、美しい姿だった…。彼女も、それを目撃したのか…、この一瞬から、僕の存在は、彼女の中から…消えた…。
 
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さっちゃん、かっこいい…
 
 
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タカネナデシコ
    
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ミヤマアズマギク
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 この岩峰の辺りには、タカネナデシコ、ミヤマアズマギクなどが咲き、僕たちは、随分と長い時間を過ごした。展望が素晴らしく、道南の山の連なりも見える。彼女は、さっちゃんと並んで、風景の一部になる。どうやら、思い出の遊楽部岳を探しているようだ。見つかるといいね…。
 
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思い出の山を探す…
  
 
 ひとときが過ぎた頃、さっちゃんが、再び、岩峰の上にゆく…。背景には、遠くの山々…。彼女は、思わず、
 
「さちえさん、かっこいい…、素敵…」
 
と、眼をハートにする…。自分の、未来の姿を、想像したのだろうか…。憧れは、追い続けることだ。そうすれば、きっと彼女も、今、頭に描いた未来の姿に追いつける…。
 
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ヨガのポーズらしい…
 
 
 その、さっちゃんの姿を見て、彼女も勇気を出した。憧れに近付きたいのだ。苦手な岩場、しかも、狭く、片側はガケ斜面に切れ墜ちている。彼女は、憧れの力で、一歩を踏み出した。恐る恐る、岩に取り付く。本人は怖いのだろうが、見ていても安心な動きだった。彼女は、決して無謀ではない。冒険の領域に入るときの、一種の憶病さが、事故を防ぐ最大の要因なのだ。岩峰の上に、腰掛ける。そして、彼女は、弾けた。この日一番に弾んでいた…。
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絶景かな…
 
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更に、調子に乗る…
 
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ミヤマアキノキリンソウ
 
    
  
 楽しいひとときを終え、3人は我に返り、また旅を続ける…。白樺山山頂を正面に捉え、登山道の斜度は上がり、次第に、岩だらけの道になる。すると、山頂は、もう直ぐだ…。午前9時半、1時間半を要して山頂に立った。ま、のんびり登山の真骨頂というべきか…。
 
 
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白樺山山頂にて…
 
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 ひととき…
 
 
 ここで、僕は、ふたりとは別行動をとることにする。その訳は、帰りのドライブに備えて、あまり疲労を溜めないことと、彼女とさっちゃんの、ふたりだけの山行を体験させることが、これからのふたりにとって必要だからと思ったからだ。山頂でのひとときを終え、ふたりは、初めて、ふたりっきりの山歩きをする。僕は、もう少し休憩を楽しみ、散歩がてら、花を探し、シャクナゲ方面に向かい、何処かで擦れ違うのを待つことにする、と伝えた。
 
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シャクナゲ岳への縦走路をゆくふたり…
 
 
 山頂で、縦走路を歩くふたりを見送りながら、遠い風景を眺める…。若い頃は、ソロだった。失敗も多く経験したが、今も、こうして元気だ。失敗から学ぶものは、教わることよりも有効だった。僕が思うに、彼女は、本来、ソロ志向ではないかと思う…。彼女のことは、分かっていることは多くは無いけど、人見知りが原因の、馴染むまで時間が掛かったり、控え目だったり、気を遣いすぎたりと、そんなところから、人間関係をスタートさせる。勿論、馴染んできて、心を開き始めると、その反動かどうか、生来のお転婆ぶりだとか、忍耐強さだとか、性格の片鱗を見せてくる。何故山に向かうのか…その疑問の答えのひとつに、山では、ありのままでいられる…、というのが、あるのかも知れない。確かに、彼女は、山では、普段は見せない、屈託のない笑顔や、弾んでいる心を見せてくれる。ありのままを求めて山に入るのなら、それは、ソロが一番だろう。ソロには危険が伴うと、よく言われるが、憶病な彼女には、それは当て嵌まらない。憶病さは、慎重さを産む。自ら、無意識に、安全の範囲を狭くしているから、危険からは遠いところにいる。勿論、リスクが何もないとは言えない。そんなことは、ソロであろうが、単独であろうが、リスクの種類が違うだけで、安全を保証するものなどないのが、山登りだ。それは、みんな等しく、非日常といえる冒険の領域に、踏み出すことになる。おそらく、「生きている」実感を、感じたいが為かも知れない。山で死んでしまう人も、少なくない。死者に鞭打つつもりは毛頭ないが、彼らは、彼女らは、「憶病」では無くなってしまっていたのではないか…。
 
 彼女は、きっと、大自然に挑む、なんて気持ちにはならないだろう。澄み渡る青空だけが大自然ではない。吹き荒ぶ風も、横殴りの雨も、総てが大自然だ。謙虚さを学び、感謝の気持ちを育むだろう…。ひとつひとつの頂きを越え、大自然に溶け込み、次の遙かなる山を想い、憧憬を深めてゆくだろう。そして、自分の成長を知り、育ててくれた大自然に、感謝の気持ちを積み重ねるだろう…。
 
 そんなことを思い、ふたりの姿は、遠い景色に同化していった。僕も立ち上がり、ゆっくりと、歩き始めた。陽が高くなり、気温も上昇した。シャクナゲへの縦走路は、次第に高度を下げ、蒸し暑さも倍増した。ふたりと一緒じゃなくてよかった。結局、僕は、ふたりの足を引っ張ることになったかも知れない。木陰で腰掛け、過ぎるそよ風が心地良い。地図を拡げ、今頃、ふたりはどの辺りだろうかと、思いを巡らす。ひとりは、もうひとりを慕い、憧れている。もうひとりは、ひとりを可愛がり、育ってくれたらと願っている…。なんか、いいね…。
 
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コバギボウシ
 
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ヤマサギソウ
 
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アリドウシラン
 
 
 ここからは、僕は同行していないので、ふたりの撮影した写真を掲載します。
 
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 ふたりは、僕の計算よりも遅くなっている。どうしたものかと、さっちゃんに電話を入れる。すると、
 
「楽しすぎて長居しちゃった。今から下りまーす」
 
だとさ…。すっかり、僕のことなど忘れている。それはそれでいいんだ、と思う僕がいる…。この日は、初めから、ふたりの旅だと思っていた。ふたりが、山のパートナーとして、信頼を築いてくれたらいい。
 
 満喫したお陰で、新見温泉の入浴の時間はなくなった。まあ、その分だけ、ゆっくりと歩く事が出来る。大雪山縦走という計画は流れたけれど、この2日間は、充実した山旅になった、僕にとっても、新鮮な経験だった。僕の役割は、サポートに過ぎないが、それも、山への恩返しに繋がるのかも知れない。ふたりは、とても、とても、楽しそうだった。この青空の下、幸せの風がそよいでいた…。
 
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Nikon Df
AI AF Zoom-Nikkor 24-85mm f/2.8-4D IF



by meo_7 | 2017-07-28 23:02 | 登山(山岳徘徊倶楽部) | Comments(0)


時々、想うこと…


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