紅葉の旅 Last Day 爽快な五色ヶ原

f0109977_13225911.jpg
 
早朝、まだ暗いうちから、旅人たちは蠢き出す。いつもの山小屋の風景だ。それぞれのヘッデンの明かりが交差する中、僕も目覚める。今朝は、だいぶ冷え込んだように思う。シュラフに潜り込んだまま、出ようか出まいか…、それも、いつもの朝の風景だ。そのうちに、外から声が聞こえる。それは、やはり、夜明けの山の、いつもの風景…。声は、合図なのだ。僕は、跳ね起きて、カメラを抱え、外に出る。眼に飛び込んできたのは、今まさに躍り出た、強烈な紅い光だった。
紅葉の旅、最終日、最高の光が、僕たちを照らし出す…。




美しい朝は、旅人たちの疲れも癒す。太陽とは、本当に素晴らしいものなのだ。強烈な光は、瞬く間に、忠別岳の山頂から下りてくる。山陰が、日時計の秒針のように裾野を下ってゆく。時を刻んでいるのだ。陰は日なたになり、山肌は紅く燃え上がる。モルゲンロートが輝く。空は、群青から真っ青な色へと変わってゆく。幾度見ても、この劇的さは、些かも色褪せしない。素晴らしいね。
 
f0109977_13414043.jpg
朝の光が届きました
  
f0109977_13450919.jpg
燃える秋です
 
f0109977_13453895.jpg
避難小屋も真っ赤
 
f0109977_13461063.jpg
有り明けの月は下弦の月
 
f0109977_13471722.jpg
モルゲンロートに輝く忠別岳
 
 
朝のショーが終わると、旅人たちは、三々五々、それぞれの時間に戻る。しかし、まだ、日常の時間ではない。非日常という旅の続きなのだ。曾て、僕は、山の中に住んだことがある。だから、山の中が日常で、街の暮らしが非日常だったという、不思議な体験をしたことがある。どうも、その頃から、心の定着しない風来坊気質が消えないでいるらしい。謂わば、中途半端な人生を送っているということなんだけど…。
 
一組を残して、僕たちも小屋を出た。水場は氷が張り詰め、今朝の冷え込みを象徴していた。しかし、日射しは強く、風も無いので、寒さを感じない。冷たい水で顔を洗い、僕たちも出発だ。
 
f0109977_13475658.jpg
氷が張っています
 
f0109977_14010653.jpg
憩いの宿でした
 
f0109977_14014455.jpg
石狩連峰
 
f0109977_14022126.jpg
避難小屋を後にする
 
f0109977_14031384.jpg
テン場より下方の沢筋から訪れる人もいます
 
f0109977_14035414.jpg
快晴の五色岳
 

 
今回の旅で3日目の稜線、都合4回も歩いている。日射しが違うと光景も格別の味がある。昨日撮影した山肌に、またしてもカメラを向ける。デジカメ時代ならではの気楽さだね。
 
f0109977_14101434.jpg

f0109977_14102821.jpg
旭岳も顔を出します
 
f0109977_14112336.jpg
今日は陰影がクッキリです
  
f0109977_14361496.jpg
分岐を後にする
 
f0109977_14382177.jpg
今朝は遠望が効いています
 
 
重荷を背負った五色岳への登り返しは、ゆっくりと登る。どちらを向いても絶景に包まれた山の旅は、疲れも半分になる。丁度、息も上がりかけた頃、五色岳山頂に着く。先行していた青年が、僕の疲れた顔を見た所為なのか、笑顔で迎え、指を指し示していた。その指の先には、そう、トムラウシの雄姿が、雲の中から顔を出していた。
 
f0109977_14452055.jpg
トムラウシの雄姿
 
f0109977_14455788.jpg
表大雪の山並みが見える
 
f0109977_14492139.jpg
珈琲ブレイク
 
f0109977_14502800.jpg
ニペソツも顔を出す
 
 
さあ、下山の時間がやってくる。早く帰りたい気持ちよりも、もう少し留まりたい気持ちの方が勝る瞬間が、この時間だ。僕は、ここからの下山の道が好きだ。ここで展開する雄大すぎるほどの大パノラマ…。どんなに人が歩いていても、それは、点景に過ぎない。人間たちが蹂躙しようとしても、それを受け付けない懐の深さを感じる。時として、人は浅はかだけど、この道すがら、心が洗われるのだとしたら、大自然には意味があるということを知るのだろう…。大自然は、挑まれることも拒まない。それはそうだ、勝敗は決まっているからだ。大自然は、弱さを撥ね付け、勇気を受け容れる。生きることの意味を、知っているからだ。
 
僕は、一歩一歩を、大事に歩いた…。
 
f0109977_15100568.jpg
五色岳を下ると直ぐに、この雄大な風景に包まれる
  
f0109977_15110679.jpg
夏には花咲き乱れる五色ヶ原
 
f0109977_15144058.jpg
ホント、いいです
 
f0109977_15164816.jpg
天空の人になれます
 
f0109977_15173397.jpg
遠く沼ノ原とニペソツ
 
f0109977_15182605.jpg
永遠の道のよう…
 
f0109977_15192661.jpg
トムラウシ
 
f0109977_15195117.jpg
いよいよ、広大な五色ヶ原との、お別れが近付く
  
f0109977_15211534.jpg
振り返ると五色岳
 
f0109977_15244902.jpg
旅人たち
 
f0109977_15252386.jpg
絶好の休憩スポットです
 
f0109977_15262445.jpg
同じ場所から見えるトムラウシ
 
f0109977_15265124.jpg
言うこと無いね
 
 
道は、灌木帯に吸い込まれる。風景は一変し、岩と水と木の織りなす、庭園の様な登山路を辿る。季節は秋だから、もう雪渓は残っていないが、夏の光景は圧巻だ。そう、花と雪が加わるからね。
 
f0109977_15280620.jpg
灌木帯に入ってゆく
 
 
沢から離れると、ちょっと退屈な這松帯を縫うように道は続く。決して快適な道ではなく、ここは、辛抱を要求される。しかし、ここでメンタルを傷めてはいけない。先はまだ長いし、登り返しもある。と言いながら、メンタルが弱った頃、嫌な道を抜け出る。ドンと現れる沼ノ原の台地に、ホッとするが、この先、ぬかるんだ急斜面の下りと、登り返しが待っている。
 
f0109977_15412682.jpg
沼ノ原へと向かいます
 
f0109977_15420264.jpg
石狩連峰も近付きました
 
f0109977_15423057.jpg
あそこを下りました
 
f0109977_15430115.jpg
沼ノ原まで、もう直ぐです
 
f0109977_15433113.jpg
沼ノ原です
 
f0109977_15435438.jpg
湿原は、何か、落ち着きます
 
f0109977_15443294.jpg
五色岳や化雲岳が見えます
 
f0109977_15450396.jpg
トムラウシは隠れました
 
f0109977_15452562.jpg
大きな池塘です
 
 
沼ノ原を去ったとき、僕の心の旅は終わる。後は、日常への帰り道なのだ。もう、旅ではない。だから、やっと、足の痛みや、肩の重さを、現実として受け止める感覚になる。ここから、早く帰りたい、という、日常の欲望が心を支配する。その過程は、あらゆる苦痛を伴う。人の本当の住処は、果たして、街なのだろうか? いや、待てよ…。「早く温泉に浸かりたいわ…」というママの言葉には、大賛成だ。この瞬間、僕の哲学は、何処かへと吹き飛んだ…。
 
f0109977_15553638.jpg
また来る日まで
 

by meo_7 | 2014-09-17 16:00 | 登山(山岳徘徊倶楽部) | Comments(2)
Commented by てばまる at 2014-09-17 21:20 x
いや~ 爽快な光景の五色ヶ原ですね。
なかなか場所的に交通の便も悪いので行けないけど、北海道の山らしい広大な景色、そこにちりばめられるように紅葉が広がる様子は素晴らしいですね。
 本州にも五色ヶ原って地名はいくつかあるけどこれほど広大ではないですね。
 紅葉の大雪山もいづれはチャレンジしてみたいものです。
 高原温泉ではちょっと見たいスミレがあります。
Commented by MIURA at 2014-09-17 22:01 x
てばまるさん、こんばんは。
このルートは、仰るとおり不便なので、あまり人が入りません。
静かな山旅にはお薦めです。
ただ、ガイドツアーとぶつかると、各避難小屋は混み合うそうです。
テント持参がベストですね。
特筆すべき花はありませんが、いずれの群落も見事です。

紅葉は、マイカー規制の時季が、バス利用で、意外に便利です。ミニ縦走が出来ます。
登りは銀泉台、下りは高原温泉という、紅葉の名所を一巡です。
 
まだ若いのですから、順に北海道の山を制覇して下さい。


時々、想うこと…


by MIURA@オイちゃん

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

カテゴリ

全体
登山(山岳徘徊倶楽部)
僕と音楽
徒然に…
ちょっとした旅
カメラ
山の道具あれこれ

最新の記事

蝦夷延胡索(エゾエンゴサク)
at 2018-04-20 21:16
あけましておめでとうございます。
at 2017-12-31 23:05
昆布岳 落ち葉の登山路 20..
at 2017-10-21 17:47
白雲山・天望山(後編)アルペ..
at 2017-10-02 01:59
白雲山・天望山(前編)アルペ..
at 2017-10-01 00:32
大雪山紅葉の旅 プチ縦走(後..
at 2017-09-20 13:46
大雪山紅葉の旅 プチ縦走(前..
at 2017-09-19 05:24
道東弾丸ツアー 斜里岳(後編..
at 2017-09-13 20:47
道東弾丸ツアー 斜里岳(前編..
at 2017-09-13 11:23
道東弾丸ツアー 西別岳・リス..
at 2017-09-12 21:29

以前の記事

2018年 04月
2017年 12月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 02月
2016年 12月
2016年 10月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 01月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 01月
2013年 11月
2012年 07月
2010年 01月
2006年 12月
2006年 11月

お気に入りブログ

やぁやぁ。
風街角
pode ser um ...

外部リンク

お薦めのホームページ

最新のコメント

翼さん、こんにちは。 ..
by meo_7 at 16:33
トップの写真、演出かもし..
by windy1957 at 10:33
てばまるさん、こんにちは..
by meo_7 at 22:16
いや~~~~~素晴らしい..
by てばまる at 15:15
yahさん、こんにちは。..
by meo_7 at 19:28
三浦さん、こんにちは! ..
by yah-_-yah at 14:50
翼さん、ありがとうござい..
by meo_7 at 11:39
いいね、やっぱり。 不..
by windy1957 at 10:23
てばまるさん、こんばんは..
by meo_7 at 23:14
クマガイソウというとなん..
by てばまる at 22:04
翼さん、まったくその通り..
by meo_7 at 20:30
辛い思いをしても逢えず仕..
by windy1957 at 17:33
てばまるさん、こんにちは..
by meo_7 at 16:13
このローアングルからする..
by てばまる at 09:29
翼さん、ホント、野に咲く..
by meo_7 at 14:49

検索

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

登山
カメラ

タグ

画像一覧

S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31