遙かなるトムラウシ Day4 エピローグ(2015/9/18)

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4日目の朝、小屋を出てみると、どんよりとした空に、弱々しく太陽の存在はあった。雨は降っていない。予報では、昼頃から降り出すようだ。逗留するというおじさんを一人残して、僕たちは、早々に小屋を出る。と言っても、時刻は午前6時50分になっていた。
 
※※※※※




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4日目の朝
 
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分岐から
 
 
ヒサゴ沼の分岐からは、長い登り返しがある。朝一番の、この道が辛い。それでも、山に入ってから3日間、歩き通した足は、少しだけ鍛えられたようで、今日が一番調子が良さそうだった。
 
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化雲岳の分岐まで、登りが続く
 
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雲海の上にニペソツ、ウペペサンケ
 
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トムラウシも見えてきた
 
 
沢筋から離れ稜線に出ると、斜度も緩くなり、息が整う。陽の射していない紅葉の山肌は、少しくすんで見えるが、それはそれで、しっとりとした味わいがある。
 
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相変わらず、チングルマの紅葉が鮮やか…
 
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こんな現象も…
 
 
絶え間なく、霧は、風景を覆ったり、垣間見せたり…。一瞬一瞬が、コマ撮り写真のように変化してゆく。まあ、僕は、駆け出しのアマチュアカメラマンなので、そんなシーンを切り取ることなど出来ない…。
 
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イワギキョウの残り花
 
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化雲平に向かう
 
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化雲平全景
 
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化雲平からトムラウシ
 
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化雲平の秋は、少しだけセンチメンタル
  
 
花の季節の化雲平は、それはそれは、美しい…。決して派手さはないが、ホソバウルップソウの時季、エゾカンゾウの揺れる時季、一面に咲くチングルマの時季、それぞれに、味わいがある。それは、一度の訪問で見られる訳ではない。そんな花の季節を知っている僕は、花々は立ち枯れて、総てを秋の色に変えた化雲平を通るとき、ちょっとだけセンチメンタルになる…。でも、大自然の命は、決して、儚いものでは無い。次の花の季節が訪れる頃、繋がれた命が、見事に展開していることを知る…。だから、センチメンタル…なんだね。
 
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化雲平を離れ、五色岳へ向かう
 
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少し、天気が良くなったかな?
 
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こちらから見る五色岳は、どれが山頂か分からない
 
  
 
五色岳には、分岐の標識はあるが、山頂標識はない。その理由の一端が分かる気がするのが、このルートを辿るときだ。全然、山らしく見えない。普通の尾根の通過点にしか見えない。でも、展望は素晴らしい。僕たちは、絶対に、そこで休憩をする。そして、そこを立ち去るとき、大雪山そのものから離れてゆくのだ、という実感がする。謂わば、心の分岐点でもある。
 
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五色岳を後にする
 
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五色ヶ原からトムラウシ
 
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沼ノ原が見える
 
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ビュースポットです
 
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美しい…
 
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沢筋の灌木帯に入ると、木々が鮮やか…
 
 
どんどんと歩を進め、ママは快調に下る。ダケカンバは、数日前より黄葉を進め、辺りを明るくしている。刻一刻と、季節は、人を寄せ付けない冬に向かっている。この大自然の中でも、生きとし生けるもの、それぞれの闘いを繰り返している。でも結局、予定調和で収まって、互いが互いを浸食しないでいるのだろう…。今、下界では、騒然とした闘いが繰り広げられる。それも、人間同士というものだ。人間という生き物は、どうしてこんなにも愚かなものだろうと思うこともある。自分で自分を破滅へと導いてゆく。それは、人間だからこそ、なのだろうか…。もし、人間も、大自然の生き物ならば、生まれ変わったとき、きっと、予定調和の中で生きていると、信じたい。時代は、永遠の課題に向かって、何かが蠢き始めている…。
 
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沼ノ原まで近くなる
 
 
五色の水場の急坂の下降口までやってきた。沼ノ原の台地の全貌が見渡せる。いつもは、ここで休憩をするところだけど、一気に下ってしまう。五色の水場では、ポットに入れる珈琲を淹れ、休憩をする。もう、風呂に入りたいとか、何を食べようとか、すっかりと、下界の人の思考回路になっている自分に気付く。
 
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霧の沼ノ原
 
 
沼ノ原を通過する頃、午後1時を廻っていた。予報は当たるのか?と、思わせる霧が漂い始めた。雰囲気は満点だけど、雨は勘弁してもらいたい。上から見る限り、新得側の雲行きは怪しかったが、クチャンベツ登山口方面は、雲が高かった。ここを凌げれば、雨に当たらないだろうと、あまり根拠のないことを、ママに言う僕だった…。
 
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急な坂を下る
 
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最後の登り返し
 
 
僕の足も、まあ、快調だった。道の斜度が緩くなり、沢音が聞こえてくると、もう、山旅の終わりを感じ始める。徒渉を終え、最後の巻道の登り返しは、ちょっと辛いけど、頑張るしかない。駐車場には、僕たちの車しかない。車に戻り、靴を履き替えていると、登山届けの記入をしているママが、何事か叫んでいる。僕たちの記入箇所に、「P1,P2」という文字が書かれているという。僕には、それが何を意味するかは、想像できたが、物語は、そう簡単に事を運べないようにするものらしい…。僕たちの記入箇所の直ぐ下の名前が、僕たちの知っている人だった。かなりの有名人だからママも知っていた。グチパパと呼ばれる人で、面識もある。だから、その「P1,P2」という文字は、彼が書いたものだと思い込んでしまった。それだと、どういう意味なのか、さっぱり分からなくなる…。あれやこれやと、ママは推理するが、僕には合点のいかないものばかり…。
 
ふと、ワイパーを見ると、紙片が挟まれていた。それに書かれたメモ書きを見て、総ての謎が解けた…。グチパパが、こんなふざけたメモ書きを残すはずもないからだ。犯人は、あいつしかいない!
 
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勿論、大笑いしましたけどね…
 
 
最後のオチには笑ってしまった。登山届けを、改めて見ると、確かに見覚えのある名前があって、何か、解答を見たような気がした。届けの名簿を見て思ったが、結構な人数が訪れていたことを知る。その殆どの人に出会ってはいない。本当に、雄大な山域なんだなと、改めて思う…。
 
弱った身体並の計画は、成功した。同じコースを1泊でやってしまう人もたくさんいる。僕たちのように、何日も休めない人には、それしか方法がない。でも、大丈夫。そうして身体を鍛えておけば、歳をとっても、こうして、ゆっくりでも、山を訪れることが出来る。
 
これが、トムラウシを訪れる最後だね、と言いながら、変な自信もついた山旅だった…。何故なら、ほぼ、標準タイムで、下りてきた…。
 
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Yes !(やらせ…)


by meo_7 | 2015-09-22 15:10 | 登山(山岳徘徊倶楽部) | Comments(6)
Commented by p-2です。 at 2015-09-22 17:03 x
ブログ楽しく、拝見しました。早く③を④を次を、次をとまるで、ベルサイユの薔薇の週間マーガレットを待っている感じ(アレ、、良いのか、この表現で、、まぁいいか)
また、何時ものことながら、写真が素晴らしい!!そのお歳で深く頭をたれました。
私はできないな〜

所で、こんなメモを残すのは、アイツ達に違いない!的な!
犯人扱いはお止め下さいませ!!
Commented by meo_7 at 2015-09-22 18:09
あらま、犯人は誰とも書いていないのに、自白しましたね。
まんまと引っ掛かりましたね。(笑)
 
沼ノ原は、ちょっとだけ、紅葉に早かったですね。
五色の水場から上がると、すっかりと最盛期でした。
何処まで行ったのですか?
Commented by p−2です。 at 2015-09-23 17:08 x
ブロブの2日の、あと少しってコメント書いてある写真のもう少し上辺り!(何か変な日本語)
登り切った所、1500ぎり辺りでしょうか?
上まで行って景色を見ようと言うお方がおりまして、、、
あと何歩か先に進めば、紅葉拝めたのですね。
仕方ないです、それが実力です。
Commented by meo_7 at 2015-09-23 19:38
そうだね、そこから30分も歩くと、紅葉と沢と木道があって、いい雰囲気だったよ。
次回、頑張りましょう。
Commented by てばまる at 2015-10-02 10:29 x
壮大なトムラウシレポ4日分揃ったので一気に読ませていただきました。
紅葉も素晴らしいけど、この雄大さが北海道の山らしいですね。
お二人の足腰もまだまだ健脚のようで素晴らしいです!
本州からだとこのあたりは遥かなトムラウシどころの騒ぎではなくもっと遠い遠い山のような気がします。

そういえば、知床の時もサンダルで下ってきた外国人がいましたね~
体のつくりが日本人とは違うとはいえ、タフですよね。

Commented by meo_7 at 2015-10-02 16:41
長いレポにお付き合いいただいて、ありがとうございます。

大雪山は、領域が広いので、1回の来道では回りきれませんね。
今回のルートは、特産種も含めて、花も楽しめるルートです。
殆どの花は、化雲岳までで、全部、見ることが出来ますね。
 
テント泊がお薦めです。
最盛期の避難小屋は、とても混み合います。
てばまるさんなら、一気にヒサゴ沼まで行けると思いますよ。
 


時々、想うこと…


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